「多点多自由度変位センシング」

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研究代表者:
藤野 陽三 (東京大学 大学院工学系研究科 教授)
研究課題:
都市基盤の災害事故リスクの監視とマネジメント

技術解説

本研究の目的は,自由空間中での光波伝搬を媒体として用いた静的・多次元・高精度の位置姿勢計測能力を有する多点多自由度静的変位計測センサネットワークシステムの実現にある.すなわち,非常に狭いビーム幅で高い精度での位置姿勢計測を可能にし,橋梁やトンネルやビルなどの大型構造物に多い1次元的な連なりで横幅が確保できない構造に対して高い精度の実現を図る.また,柔軟センサネットワーク機能により,人手を介さずに長期間に渡る安定計測を可能にする.

これまでの研究において、6軸変位の計測にほぼ最適と思われる多重零点ビームとして,1+6+12=19次で断面光量分布が平坦の波面を設計し,このホログラムを作成し,まずその検出の容易さを実験により確認した.続いて,このビームから変位計測のパラメータを実時間検出するための複素画像解析アルゴリズムを開発し,これを実装した.現在実施を進めている定量的評価実験では,これまでにz軸まわりの角度変位の検出感動が10倍以上に向上していること,横変位,角度変位の精度とも昨年度報告よりも格段に向上していること,相対変位の検出感度でナノメータレベルが可能であること,空気の擾乱に対してもほぼ安定した追従が可能であることを確認している.

検証実験については,研究チーム内の他グループと連携し,これまでの研究開発成果や開発プログラムをもとに討議を重ね,検証実験用デモ機として最適なシステム構成に関して一応の結論に達し,装置の開発を進めているところである.その過程で,コストダウンの要点となるヘテロダイン光発生の部分に新たな方式も提案された.また,ノード間の時間・位相同期の問題に関しても,荷重積分法による厳密周波数推定という新たな数理的な方法の導入を基礎実験を開始し,既に有望との見通しを得た段階にある.

図-1に波面の零点検出アルゴリズムの概要を示す。零点近傍では振幅が線形であることを利用し高速検出が可能な4点差分法を開発しこれを適用している。これによりサブピクセルオーダーでの零点検出が可能となり、1.8umの標準偏差を得た。
図-2は、新たに設計した19次多重極波面とその検出画像である。多数の零点検出を前記した4点差分法により検出することで、安定した変位推定を実現することができている。

概要図

図-1 波面の零点検出アルゴリズムの概要

図-1 波面の零点検出アルゴリズムの概要

図-2 新たに設計した19次多重極波面とその検出画像

図-2 新たに設計した19次多重極波面とその検出画像

論文等

  1. 安藤 繁, 魏 大比, Paul Masurel, ``複素正弦波変調撮像によるオプティカルフロー検出理論 および時間相関イメージセンサによる実現,
  2. 安藤 繁, 本谷秀堅, ``ユビキタス指向センサと統合情報処理,'' 人工知能学会誌, vol.23, no.5, pp.604-610, 2008.
  3. 安藤 繁, ``微分ガウシアン演算子と画像の特徴抽出処理,'' ふぇらむ(日本鉄鋼協会会報), vol.13, no.6, pp.360-367, 2008.
  4. 来海 暁, 安藤 繁, ``時間相関イメージセンサ-高度な実時間パターン計測を実現する画像センサ-'', 計測と制御, vol.47, no.1, pp.10-17, 2008
  5. 来海 暁,安藤 繁, ``時間相関イメージセンサと実時間ロックイン撮像技術'', 光アライアンス, vol.19, no.2, pp.1-6, 2008.
  6. 佐藤世智,藤本生松,栗原徹,安藤繁:“多重極光ビームを用いる遠隔6軸変位計測(第1報)-多重極ビームの生成と実時間映像検出-”,第24回センシングフォーラム講演予稿集,pp.31-36,仙台,2007.
  7. 佐藤世智,藤本生松,栗原徹,安藤繁:“多重極光ビームを用いる遠隔6軸変位計測(第2報)-多重極ビームの数理的表現と検出理論-”,第24回センシングフォーラム講演予稿集,pp.49-53,仙台,2007.
  8. 佐藤世智,栗原徹,安藤繁:“多重極ビームの振幅・位相映像化による多自由度変位計測”,第24回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム,pp.73-76,東京, 2007.
  9. S Sato, I Fujimoto, T Kurihara, S Ando, ``Optical Vortex and Correlation Image Sensor for Networked Deformation Sensing of Infrastructures,'' 5th International Conference on Networked Sensing System (INSS2008), pp.39-42, Kanazawa, 2008.
  10. S. Ando and N. Ono, ``Spatio-temporal phase-encoding profilometry using correlation image sensor,'' Proc. 2008 IEEE Int. Symp. Industrial Electronics (ISIE08), pp.786-791, Cambridge, 2008.
  11. S Sato, I Fujimoto, T Kurihara, S Ando,``Remote Full-axis Deformation Sensing with Optical Vortex Beam for Health Monitoring of Infrastructures,'' 3rd International Conference on Sensing Technology (ICST2008), pp.452-456, Tainan, 2008

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