「食習慣センシング技術」

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研究代表者:
山田 一郎 (東京大学大学院新領域創成科学研究科 教授)
研究課題:
生体・環境情報処理基盤の開発とメタボリック症候群対策への応用

技術解説

内臓肥満は、運動不足と不規則な食事などの生活習慣の乱れが主な原因であり、これを解消するには運動療法と食事療法が必要である。前者については、3軸加速度センサを基本とする活動量計を用いて、個人の運動状態を客観的に把握できるようになり、運動療法に活かされている。後者については、映像を用いて消費カロリーや栄養バランスを分析するサービスがあるが、食事の規則性などの食習慣を非侵襲な手法で連続的にモニタリングするサービスはこれまでに開発されていない。そこで、食習慣センシングにおいては、非侵襲で簡易な計測が可能な音情報、特に声や咀嚼音などの体内音に着目して、食習慣(咀嚼回数、食関連行動(食事の規則性)、フードテキスチャーなど)を分析する食習慣センシング技術の開発を進めた。
まず、日常生活下の体内音を長時間に渡ってモニタリングできるウェアラブル食習慣センサを試作した。体内音を捉えるために、環境音に由来するノイズが少なく外耳に挿入できる骨伝導マイクを用いて、ICレコーダやスマートフォンに記録するものである。このウェアラブル食習慣センサを用いて、食事中における咀嚼音などの体内音を記録して、個人や食品種類に依存しないロバストな分析手法の開発を進めた。その結果、咀嚼回数や食関連行動(食べる、飲む、話す)を高精度に分析することが可能となった。長時間の体内音から食事時間を抽出し、さらにズームアップするとよく噛んで食べているかどうかが見えてきた。咀嚼回数については、個人や食品の種類に依らずに90%の精度でカウント可能となった。
さらに分析することにより、口に含まれる食品の性状(フードテキスチャー)が見えてきた。一例として、フードテキスチャーについては、主成分分析(PCA)によって、咀嚼に伴って食品の硬さが変化する様子を可視化するとともに、食品の硬さを評価することに成功した。食品の硬さだけでなく、弾性、シャキシャキ感を加えた3つのフードテキスチャーを評価することも可能となった。
現在、後期高齢者の健康診断において、食の虚弱を調査する咀嚼機能評価が重要な項目となっている。食習慣センシング技術では、音情報から発話量と同時に咀嚼回数が計測できるので、臨床現場の医師から大いに期待されている。

概要図

ウェアラブル食習慣センシングシステム

ウェアラブル食習慣センシングシステム

論文等

  1. M. Shuzo, S. Komori, T. Takashima, G. Lopez, S. Tatsuta, S. Yanagimoto, S. Warisawa, J.-J. Delaunay, I. Yamada, “Wearable Eating Habit Sensing System Using Internal Body Sound,” Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing, vol. 4, no. 1, pp. 158-166, 2010.
  2. T. Faudot, G. Lopez, I. Yamada, “Information System For Mapping Wearable Sensors Into Healthcare Services: Application to Dietary Habits Monitoring,” Proceedings of 2nd Workshop on Web Intelligence and Virtual Enterprise, in the 11th IFIP Working Conference on Virtual Enterprises, Saint-Etienne, France, October 11-13, 2010.
  3. H. Zhang, G. Lopez, M. Shuzo, J.J. Delaunay, I. Yamada, “Analysis of Eating Habits Using Sound Information from a Bone-Conduction Sensor,” Proceedings of e-Health 2011, Rome, Italy, July 20-22, 2011.
  4. H. Zhang, G. Lopez, R. Tao, M. Shuzo, J.-J. Delaunay, I. Yamada, “Food Texture Estimation from Chewing Sound Analysis,” Proceedings of the International Conference on Health Informatics (HEALTHINF 2012), pp. 213-218, Algarve, Portugal, February 1-4, 2012.

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