「血圧センシング技術」

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研究代表者:
山田 一郎 (東京大学大学院新領域創成科学研究科 教授)
研究課題:
生体・環境情報処理基盤の開発とメタボリック症候群対策への応用

技術解説

高血圧に伴う心筋梗塞や脳卒中といった動脈硬化性疾患のリスク評価指標として、血圧の日内変動パターンや短期変動パターンをモニタリングすることが重要である。そこで、血圧センシングにおいては、一般健常者に対する心血管系や脳血管系の疾患の早期発見率の向上と、メタボリック症候群患者およびその予備軍の経過をモニタリングすることを目標として、自由行動下において長時間かつ連続的な血圧計測が可能なウェアラブルセンサを開発することが目的となる。既存の方法では計測し得ないような高頻度・長時間で、かつ日常生活下の血圧を連続測定することが可能となれば、従来知られていなかった血圧に関連した新たな医学的知見が得られる可能性が期待される。
血圧は、心臓の収縮によって生じた脈波が抹消に伝わるまでの脈波伝播時間(Pulse Wave Transit Time)と強い相関関係があることが知られている。血圧が高くなると脈波伝播時間が短縮し、血圧が低くなると脈波伝播時間は延びる。この脈波伝播速度(PWV:Pulse Wave Velocity)法に基づく血圧測定手法は、脈波伝播時間を測定することで血圧値を算出するため、測定時にカフ圧をかける必要がないのが利点である。我々は従来のPWV法に改良を加え、運動時にも適用可能な血圧算出式を開発した。
また、ウェアラブルなデバイスを実現するため、低消費電力で大容量データを通信する技術を導入した。時分割送信とデータ圧縮によって、心電、脈波の生信号をリアルタイムに送受信し、小型二次電池で3時間以上の連続計測が可能なデバイスを携帯情報端末上に実装した。取得したデータは携帯情報端末(スマートフォン)からデータベースに送信され、医師はその詳細データを閲覧することが可能である。
これまで日常生活下で血圧を連続測定する試みはあまり行われていなかったが、運動時にも対応可能な血圧センシング技術へ改良した。今後、新たな医学的な知見を得るためには、豊富なデータから議論することが必要である。例えば、測定された血圧がどんな行動をしている場合の血圧かなど、血圧と行動履歴との対応付けも重要となる。

概要図

無線型ウェアラブル血圧センサの試作機

無線型ウェアラブル血圧センサの試作機

論文等

  1. G. Lopez, M. Shuzo, H. Ushida, K. Hidaka, S. Yanagimoto, Y. Imai, A. Kosaka, J.-J. Delaunay, I. Yamada, “Continuous Blood Pressure Monitoring in Daily Life,” Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing, vol. 4, no. 1, pp. 179-186, 2010.
  2. M. Labat, G. Lopez, M. Shuzo, I. Yamada, Y. Imai, S. Yanagimoto, “Wearable Blood Pressure Monitoring System: A Case Study of Multiplatform Applications for Medical Use,” Proceedings of International Conference on Health Informatics 2011, pp. 156-163, Rome, Italy, January 26-29, 2011.
  3. M. Nakamura, J. Nakamura, G. Lopez, M. Shuzo, I. Yamada, “Collaborative Processing of Wearable and Ambient Sensor System for Blood Pressure Monitoring,” Sensors, vol. 11, no. 7, pp. 6760-6770, 2011. (DOI:10.3390/s110706760)
  4. G. Lopez, S. Matsuura, I. Yamada, “Study on Continuous Blood Pressure Estimation by Pulse Transit Time,” Proceedings of 2012 ASME-ISPS/JSME-IIP Joint Conference on Micromechatronics for Information and Precision Equipment (MIPE 2012), pp. 1-3, Santa Clara, California, USA, June 18-20, 2012.
  5. T. Inajima, Y. Imai, H. Morita, R. Nagai, K. Iijima, S. Yanagimoto, N. Yahagi, G. Lopez, M. Shuzo, I. Yamada, “The Relation between the Blood Pressure Estimated by Pulse Wave Velocity and the Directly Measured Arterial Pressure in Humans,” Journal of Robotics and Mechatronics, vol. 24, no. 5, pp. 811-819, 2012.
  6. “運動中でも血圧正確に 耳たぶにセンサ装着 東大,” 日経産業新聞 6面, May 4, 2009.
  7. “Blood Pressure Testing without Squeeze,” The Japan Journal, vol. 6, no. 11, pp. 28-29, 2010.

関連特許

  1. 非侵襲的連続血圧モニタリング方法および装置(特願2012-135321)

関連リンク

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