「ウェイクアップ無線インタフェース技術(取る技術)」

Check

研究代表者:
山田 一郎 (東京大学大学院新領域創成科学研究科 教授)
研究課題:
生体・環境情報処理基盤の開発とメタボリック症候群対策への応用

技術解説

無線通信はセンサノード全体の電力消費の30~50%を占めるため、特に、ウェアラブル生体センサの長寿命化には無線通信プロトコールの良し悪しが大きな影響を与える。本研究では、受信した電磁波エネルギーからでもマイクロコントローラを駆動できることに着目して、待受け電力を必要とせずにデバイスをウェイクアップする機構の開発を進めた。
開発した送信機はウェイクアップ要求信号送信モジュールと従来のデータ通信モジュール(微弱無線モジュール等)から構成される。データ通信時には、通信したい端末のID が含まれるウェイクアップ要求信号を、通信したい端末に対して送信する。一方、受信機はウェイクアップ要求信号を検出するウェイクアップモジュールと従来のデータ通信モジュールから構成される。ウェイクアップモジュールは信号検出回路(信号の有無検出)とID 受信比較回路(信号の復調・復号とID比較)により構成される受信機であり、信号検出回路は常時動作して受信待機する。ウェイクアップモジュールはウェイクアップ要求信号を検出するとID 受信比較回路によってIDを識別し、ID が自端末宛であればデータ通信モジュールをウェイクアップして通信を開始する。
我々はウェイクアップ無線インタフェースにおけるID空間の設計について、消費電力削減の側面から研究を進め、ID空間構造にブルームフィルタを適用して、ID受信比較回路の低消費電力化とウェイクアップ要求信号数の削減を行う手法を考案した。ブルームフィルタはデータセットを効率良く表現可能なデータ構造であり、ID長を短縮することができる。また、ブルームフィルタでは複数のIDを1つのIDに縮退させることが可能であり、サービスに対してIDを付与することで、回路規模を大きくすることなく、サービスに必要となる複数のデバイスをウェイクアップすることができる。これによって、ウェイクアップ時に送出されるウェイクアップ要求信号数を削減することができる。
例えば、ヘルスモニタリングにおいて、モニタリングしたい疾患毎にIDを用意し、各疾患のモニタリングに必要なセンサ群に同一のIDを設定することで、1つのIDで複数のセンサを同時にウェイクアップすることが可能となる。また、1つのセンサを複数の疾患のモニタリングで使用する可能性があるため、センサには複数のIDを設定できることが好ましい。ブルームフィルタを用いることで小規模な回路で、これらを実現することが可能となる。

概要図

データ通信モジュールの2段階ウェイクアップによる省電力化

データ通信モジュールの2段階ウェイクアップによる省電力化

論文等

  1. 石田 繁巳, 瀧口 貴啓, 猿渡 俊介, 南 正輝, 森川 博之, “ブルームフィルタを用いたウェイクアップ型通信システム,” 電子情報通信学会論文誌, vol. J94-B, no. 10, pp. 1397-1407, 2011.
  2. 石田 繁巳, 瀧口 貴啓, 猿渡 俊介, 森川 博之, “ワイヤレスハーネスのための2進MDS-IDマッチング型ウェイクアップ通信,” 電子情報通信学会論文誌, vol.J96-B, no.6, Jun. 2013.(in press)
  3. 瀧口 貴啓, 森戸 貴, 猿渡 俊介, 南 正輝, 森川 博之, “Bloom Filterを用いたウェイクアップ型無線通信の消費電力評価,” 電子情報通信学会 2009年総合大会, 愛媛大学, 松山市, March 17-20, 2009.
  4. 石田 繁巳, 瀧口 貴啓, 猿渡 俊介, 南 正輝, 森川 博之, “ウェイクアップ型無線通信のためのグループ指定可能IDマッチング機構の実装,” 電子情報通信学会ソサイエティ大会, 新潟大学, 新潟市, September 15-18, 2010.
  5. 瀧口 貴啓, 石田 繁巳, 岸 孝彦, 丹羽 栄二, 見並 一明, 猿渡 俊介, 森川 博之, “ウェイクアップ型無線通信におけるビット不一致許容IDマッチング,” 電子情報通信学会技術研究報告情報ネットワーク研究会, 沖縄コンベンションセンター, 宜野湾市, March 3-4, 2011.
  6. 瀧口 貴啓, 石田 繁巳, 猿渡 俊介, 森川 博之, “車両内ウェイクアップ型無線通信における数個のビット不一致許容IDマッチング,” 電子情報通信学会総合大会, 東京都市大学, 世田谷区, March 14-17, 2011.
  7. 石田 繁巳, 瀧口 貴啓, 猿渡 俊介, 森川 博之, “ブルームフィルタを用いたウェイクアップ型無線通信システムにおけるID長の影響,” 電子情報通信学会総合大会, 東京都市大学, 世田谷区, March 14-17, 2011.
  8. 石田 繁巳, 鈴木 誠, 森川 博之, “サブスレッショルド特性を利用するウェイクアップ受信機用ミキサの初期的検討,” 電子情報通信学会ソサイエティ大会, 北海道大学 札幌キャンパス, 札幌市, September 13-16, 2011.
  9. 石田 繁巳, 猿渡 俊介, 森川 博之, “ワイヤレスハーネスのための2進MDS-IDマッチング型ウェイクアップ通信の評価,” 第49回高度交通システム研究発表会(ITS49-3), 首都大学東京 秋葉原サテライトキャンパス, 千代田区, June 15, 2012.
  10. T. Takiguchi, S. Saruwatari, T. Morito, S. Ishida, M. Minami, H. Morikawa, “A Novel Wireless Wake-up Mechanism for Energy-effient Ubiquitous Networks,” 1st International Workshop on Green Communications (GreenComm’09), Dresden, Germany, June 18, 2009.

関連特許

関連リンク

ページの先頭へ