協調移動支援システムにおける行動シミュレータ

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研究代表者:
東野 輝夫 (大阪大学 大学院情報科学研究科 教授)
研究課題:
災害時救命救急支援を目指した人間情報センシングシステム

技術解説

花火大会など多数の人が集まるイベントでは,イベント会場
から電車など公共交通機関までの道が非常に混雑する例がよく
見られる.混雑時には歩行速度が著しく低下し,過度の混雑で
は危険に晒される可能性もある.また,自然災害発生時には建
物の倒壊や火事により近隣の道路が通行できない,もしくは通
行するのが非常に危険な状態になることもあり,そのような場
合には目的地に別の経路で向かわなくてはならない.この時,
混雑していて通りづらい道路や,建物の倒壊などで通行できな
い道路についての情報を取得することができれば,そのような
道路を回避し,目的地まで効率的に向かうことができる.
例えば,震度5 弱以上の地震災害時の移動を支援すること
を目的とし,被災地の航空写真を撮影し提供することで崩落し
た高架道路の存在を利用者が早期に把握できるシステムが開
発されている1).このように,歩行者が安全かつ円滑に目的地
に到達できるよう,人の集中により生じた混雑地域や,災害な
どによる通行不能地域に関する情報を即座に取得し,歩行者に
提供し誘導する移動支援システムの研究開発が盛んに行われ
ている.このようなシステムでは,歩行者の情報収集範囲など
情報収集方法,収集された情報をもとにした歩行者誘導方針,
混雑状況や災害状況などの地理環境により,その性能は大きく
変化するため,様々な状況において,移動支援システムに対す
る動作検証や性能評価を行う必要がある.本研究では,移動支
援システムの評価を行うため,移動支援システムの挙動や歩行
者の行動を再現できるシミュレータの設計及び開発を行う.
また,構築したシミュレータが移動支援システムを適切に評
価できるかを確かめるため,大阪の一区画を対象とした評価
実験を行った.評価実験ではオフィスビルが林立する1km x
1km の大阪市内の1区域において,500 人の被災者が区域内
のいずれかの避難箇所(学校,公園,駅) に避難する状況を想
定した.このもとで,移動支援システムによる情報提供がある
場合とない場合について,全被災者が避難を完了するのに要す
る時間をそれぞれ測定した.この結果,移動支援システム導入
によって避難完了に要する時間は10%ほど短縮されることが
分かった.

概要図

論文等

  1. 中濱 浩二、廣森 聡仁、梅津 高朗、山口 弘純、東野 輝夫, "様々な無線通信インフラを用いた協調移動支援システム評価 のための行動シミュレータ," 平成22年度 情報処理学会関西支部 支部大会 講演論文集, H-01, 2010.

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