「基幹脳活性指標再構成技術」

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研究代表者:
本田 学 (国立精神・神経センター 神経研究所疾病研究第七部 部長)
研究課題:
脳に安全な情報環境をつくるウェアラブル基幹脳機能統合センシングシステム

技術解説

磁気共鳴機能画像(fMRI)と多チャンネル頭皮上脳波とを同時に計測するシステムをもちいて、頭皮上の後頭部から記録される自発脳波α帯域成分と基幹脳活性との時間的関係に着目して解析をおこなった。
 fMRIとの同時計測により後頭部から導出された自発脳波について、3秒ごとにα帯域(8-13Hz)成分のパワーを算出し、その20分間のα成分時系列の中にどのような変動成分が含まれているかを周波数解析した。その結果、概ね0.04Hz以下のゆっくりした変動成分と、0.05Hz以上の速い成分、およびその中間の成分の3つに分けられることが示唆された。そこで、脳波α波パワーの変動を、その周期に応じて、0.04Hz以下の遅い変動、0.04Hzから0.05Hzの中間の変動、0.05Hz以上の速い変動に分離し、それぞれの変動成分と正の相関を示す脳活動をfMRIから抽出した。
 fMRIによって計測された視床、脳幹など基幹脳の活性は、後頭部から記録されたα波の時系列のうち、0.04Hz以下の変動成分、すなわち25秒よりも長い周期でゆっくりと変動する成分に対してのみ、選択的に正の相関を示すことが示された。情報入力に対して瞬時に反応する感覚運動系とは異なり、脳幹部に高密度で含まれるモノアミン系神経などの情動神経系は、情報の入力に対して反応の立ち上がりも消失も数秒から数十秒くらいの遅れをもつことが知られている。今回の検討によって得られた結果は、脳波α波から基幹脳活性指標を再構成するにあたっては、モノアミン神経系の活動を反映する周期25秒以上のゆっくりとした変動成分に注目して指標化する必要があることを示している。

概要図

後頭部脳波の緩やかな変動と基幹脳活性が正の相関を示す

後頭部脳波の緩やかな変動と基幹脳活性が正の相関を示す

論文等

  1. 小俣圭, 花川隆, 本田学, EEG-fMRI 同時計測における呼吸変動の影響, 第39回日本臨床神経生理学会学術大会, 北九州, 2009年11月18日
  2. 小俣圭, 森本雅子, 花川隆, 本田学, 自発脳波と機能的MRIの同時計測における解析, 第32回日本神経科学大会, 名古屋, 2009年9月16日
  3. K.Omata, M.Morimoto, T.Hanakawa, M.Honda, Simultaneous recording of spontaneous EEG and fMRI, Society of Neuroscience 2009 Annual Meeting, Chicago, USA, October 17-21, 2009

関連特許

関連リンク

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