軸外スピンコート法

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研究代表者:
山中 一司 (東北大学 未来科学技術共同研究センター 教授)
研究課題:
多種類の危険・有害ガスに対する携帯型高感度ガスセンサシステム

技術解説

ボールSAWセンサの高感度は超多重周回(>100周)により実現されるので、感応膜を設ける場合でも減衰が小さい必要がある。そのためには膜が薄く均一でなければならない。しかし、図1に示すように、従来のスピンコート法では遠心力の方向は経路面に垂直であり、感応膜の溶液は経路上に厚く残り不安定に排出されるため、上記の条件を満たさなかった。そこで図2に示すように、溶液が周回経路から接線方向に働く遠心力によって流出しやすい配置を持つ軸外スピンコート法を開発した。
軸外法によって成膜したボールSAWセンサ(34周目を使用)とTCDを用い、昨年開発したオープンチューブMEMSカラムで分離した4種の高級炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン)の混合ガスと神経ガスシミュラント(DMMP)への応答を評価した結果、遅延時間応答では、各成分に対して、質量負荷によるピークの変化が見られた。また、ノイズレベルは0.02 ppmと小さく、多重周回の効果が得られた。注入したガスの濃度に対する応答の大きさから求められる検出効率は、DMMPの遅延時間応答では23.1 ppm/1000ppm であった。効率とノイズレベルから得られる検出限界ガス濃度は0.8 ppmとなった。室温動作のセンサにより、圧縮器なしで多種類のガスに対するサブppm検出感度を実現できたことは、研究目標達成への大きな足がかりである。

概要図

図1  従来のスピンコート法による感応膜の成膜

図1 従来のスピンコート法による感応膜の成膜

図2  軸外スピンコート法による感応膜の成膜

図2 軸外スピンコート法による感応膜の成膜

論文等

  1. Kentaro Kobari, Yutaro Yamamoto, Masanori Sakuma, Shingo Akao, Toshihiro Tsuji, Kazushi Yamanaka, Fabrication of Thin Sensitive Film of Ball SAW Sensor Using Off-axis Spin Coating Method, Proceedings of Symposium on Ultrasonic Electronics, 29, (2008), 253-254
  2. 小針健太郎、河合優樹、山本祐太朗、佐久間正典、赤尾慎吾、辻俊宏、山中一司, 軸外スピンコート法を用いたボールSAWセンサの感応膜の作製, 圧電材料・デバイスシンポジウム2009講演論文集, (2009), 129-134
  3. Kentaro KOBARI, Yutaro YAMAMOTO, Masanori SAKUMA, Shingo AKAO, Toshihiro TSUJI, Kazushi YAMANAKA: Fabrication of Thin Sensitive Film of Ball Surface Acoustic Wave Sensor by Off-Axis Spin-Coating Method, Japanese Journal of Applied Physics,48(7),(2009),07GG13-1-6

関連特許

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