イベント駆動用超低消費電力デジタル出力温度センサ

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研究代表者:
伊藤 寿浩 (産業技術総合研究所 先進的プロセス研究部門 ネットワークMEM研究グループグループ長)
研究課題:
安全・安心のためのアニマルウオッチセンサの開発

技術解説

本研究では0.2℃の精度、1μW以下の消費電力をもつMEMS温度センサの開発を目的としており、このセンサは無線センサ端末を用いた健康モニタリングや、特に鳥インフルエンザ早期発見システムで用いる端末への応用に有用である。

これまでの温度センサでは、センサそのもの電力消費量が大きく、かつAD変換を必要としており、低消費電力や高い精度を必要とする応用に用いる無線センサ端末での使用は難しい。バイモルフを用いた温度センサは、低消費電力での動作が可能である。しかしながら、バイモルフは非冷却の光学機械式赤外線イメージシステムでの研究例は多いが、精度を高くすることが難しいため、温度センサとしての研究例はほとんどない。

図1は本研究で開発したスイッチ型のトリプルビームバイモルフの概略図である。このバイモルフは温度増加により上側に曲がり、上側に設置するコンタクトパッドに接触することによりスイッチがONとなる。このトリプルビーム構造は(1)温度精度を0.2度以上にすること、(2)従来のMEMSプロセスで簡易に作製できることのために設計されている。両端のビームは0.5℃の精度を持ち、中央のビームでアシストすることにより0.2℃の精度を実現する。中央のビームの長さは20-30μmの変化で1℃異なるスイッチが可能となるため、構造の作製やパッケージングに適した構造である。

図2はプロトタイプ端末のSEM写真である。トリプルビームバイモルフの上側レイヤーは500nm厚のMo、下側レイヤーは500nm厚のAuである。温度に対する変位量の測定は、コンフォーカルスキャニングレーザー顕微鏡用に石英で作製したステージとヒータによるその場観察が可能なシステムにより行った。図3は25-38℃、41-44℃に温度変化させたときのビーム先端の変位量を示している。トリプルビームバイモルフはシングルビームバイモルフとは異なる動作をしていることがわかる。例えば、41-44℃の温度増加によりトリプルビームバイモルフは2μmの変位量があったが、一方でシングルビームは0.5μmであった。変位量の増加量や、1℃異なるスイッチのビームの長さが大きいことはデバイスの作製が行いやすいことも示している。以上より、トリプルビームバイモルフは温度精度とデバイス作製の面で優れていることを示した。

概要図

トリプルビームバイモルフとその動作の概略図と

トリプルビームバイモルフとその動作の概略図と

作製したトリプルビームバイモルフのSEM写真

作製したトリプルビームバイモルフのSEM写真

25℃から温度増加させたときのビーム先端の変位量

25℃から温度増加させたときのビーム先端の変位量

論文等

  1. Y. Zhang, T. Ikehara, J. Lu, T. Kobayashi, M. Ichiki, T. Itoh, R. Maeda,“Novel MEMS-based thermometer with low power-consumption for health-monitoring network application”, Proceedings of Device and Process Technologies for Microelectronics, MEMS, Photonics, and Nanotechnology IV, Vol.6800, 2008, V1-10

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