ジャイロ型発電機

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研究代表者:
佐藤 知正 (東京大学大学院情報理工学系研究科 教授)
研究課題:
安全・安心のための移動体センシング技術

技術解説

 移動体振動を無線通信などのエネルギ源とするために考案された高出力な発電機.運動機構は,ダイナビーと呼ばれる運動遊具用に考案されたものを用い,これに電磁誘導機構を組み込んでいる.回転体の自転と歳差運動を組み合わせ,入力振動の数十倍の周波数の回転運動を発生し,電磁誘導により発電する.人の運動などの低周波振動を入力とする場合,従来の発電機は1mW程度が出力の限界であったが,本発電機は1Wを発生する.
 発電機の構成と動作原理を図に示す.y軸回りにωyで回転するロータがあり,その軸はトラックにより支えられている.トラックの間隔はロータ軸の直径よりわずかに大きく,ロータ軸はトラックの円周方向(z軸回り)に自由に回転できるようになっている.トラックをx軸回りにωxで回転した場合,ロータにωz方向のトルクが加わり,角運動量の法則により,ロータはz軸回りの歳差運動ωzを始める.すると,ロータ軸には,トラックから摩擦力が加わる.摩擦力は,ロータの自転ωyを増大する方向のトルクを発生するため,ロータの回転数が増大する.本発電機ではロータ軸の方向が変わるため,通常の発電機やモータと異なり,コイルをロータと直交して配置している.永久磁石の角度によりコイルを貫く磁束が変化し,ロータの回転数と同じ周波数の交流電圧が発生する.
 試作機では,入力振動3Hz,振幅30度,負荷抵抗500Ωで,負荷に平均0.9Wを発電した.また本発電機に6Vの定電圧回路を接続し,携帯電話への充電が可能なことを確認した.なお,理論上の最大発電量は6Wであるので,磁気回路の効率化,摺動部の摩擦の低減,ロータアンバランスの低減により,発電量の向上すると考えられる.

概要図

ジャイロ型発電機の構成と発電の原理

ジャイロ型発電機の構成と発電の原理

論文等

  1. 石井智裕,後藤裕治,小川達也,保坂寛:ジャイロ型振動発電機の研究,精密工学会誌,74,7,pp.764-768,2008.

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