「パラサイトヒューマン(PH)」

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研究代表者:
前田 太郎 (大阪大学大学院 情報科学研究科 教授)
研究課題:
パラサイトヒューマンネットによる五感情報通信と環境センシング・行動誘導

技術解説

 「パラサイトヒューマン(PH)」は装着者に対するコンピュータ端末としてではなく,装着者を含む外界環境に対して人間と同様に感覚情報を取り込み,自ら運動する代わりに装着者に対して行動要求を出すようになる共生型の装着システムである.このシステムにネットワークを介して接続する「パラサイトヒューマンネット」を利用することで,1対1ユーザの間でスキルの伝達を実現することや,集団行動における適切な誘導を行うことができる(図1).
 PHと環境センサネットの融合が機能することによって装着者自身にもたらされる安心安全を実現するための各種要素技術の実現と実証を目指す.PHによって人間情報を計測すると同時に安心安全をフィードバックするための行動誘導の機能を持つ双方向機能ノードとしてPH装着者自身を環境ネットに接続すること(=センサネット環境における観測と働きかけを同時に実現する機能ノード化)によって,リアルタイムでの半自動危険回避・ 最適手順教示・救急通報といった「安全」の享受と,装着者の行動情報から個人特性を吸収・一般化してネット上のセンサノードとしての公開情報として供給する事による個人情報保護(個人情報の匿名化によるファイヤウォール機能)の「安心」を担保する.
 実現のための試作機として,新型パラサイトヒューマン(PH)のプロトタイプのベースとなる運動計測用零号機(図2)及びプロトタイプ専用の各要素デバイスの開発を行っている.新規デバイスとしてHMDの安定的な固定と4極3自由度のGVS電極を備えた頭部装着装置,運動計測データの高速転送用FPGA,実時間ビデオシースルー用FPGA,新型4自由度爪装着型振動子などの新型デバイスの開発と,これらの詳細設計を決めるための各種基礎実験を行っている.これらの実験によって4極3自由度GVSによる起立姿勢誘導や頭部運動追従の特性改善,Pseudo-Hapticsによる上肢運動時の触錯覚の発生条件と上肢行動誘導のための誘導刺激提示手法の検証,爪上振動子によるなぞり触覚の伝送特性など,実際の設計応用に繋がるインタフェース評価知見が得られた.また,偏加速度提示による疑似牽引力提示手法について,クランクスライダ方式の小型化・複式化による効果の研究を進め,回転カム式とインパクト式の2つの新方式による小型軽量化への試みている.

概要図

スキルの伝達を可能にするパラサイトヒューマンネット

スキルの伝達を可能にするパラサイトヒューマンネット

論文等

  1. 高橋英之,大森隆司 : 円滑な対人インタラクションを実現する対象認識に応じた認知的構え調整機構のモデル化,認知科学,Vol.15, No.1, pp.202-215, 2008.
  2. 雨宮智浩,前田太郎 : 非対称振動を伴う物体の挙錘により生成される重量錯覚,日本バーチャルリアリティ学会論文誌,Vol.13, No.1, 2008.

関連特許

関連リンク

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